警察が来るまでの間、謎の女としばらく話をした。
謎の女はこの世界で金のインゴットを入手したいらしい。
インゴットを購入するための現金を得る方法を探っており、
女の魔法で生成した貴金属をどこかで換金することができないのか、
というので、方法を模索しているらしく、
貴金属の換金と、インゴットの購入に関しての協力をしてほしい、とのことだった。
それなら自分で金のインゴットを作ればいいと思ったのだが、
それはできないらしい。
できない理由はよくわからなかったが、
なんか魔法上な制限のようなものがあるようだ。
オレ以外の人間とはあまり接触したくないらしい。
理由はよく分からなかったが、
あまり目立ちたくないらしい。
何やら怪しいが、命を助けてもらった身だ。
あれこれ詮索するのも野暮ってもんだろう。
よっぽどヤバイことに手を貸さなきゃならないような事態になったら
オレも考えなきゃならんが、
この女相手にそんなことを考えても、
こっちにできることは何もないだろうし、
大体、こちらの考えを結構読めるようで、
時折見透かしたようなことを言われた。
あまり、妙なことを考えないほうが、こちらにとっても身のためというものだろう。
言いたいことを言った後、女は夜空に消えていった。
また向こうからこちらに連絡してくる、とのことだった。
どうやって連絡してくるつもりなのかは知らないが、
電話番号もLINEもメールアドレスも何も聞かれなかったな。
そもそも、あいつがスマホを所持しているのかも知らないが。
そして、警察が来た。
結構事細かく聞かれて、ごまかすのが大変だった。
なんで車がこんな状態で、オレが無傷なんだってのも妙な話なので、
口裏合わせのために、再びオレは謎の女に空中に持ち上げられて、
超高速でぶん投げられて地面を転がることになり、
大きな怪我はないが、さらに服はぼろぼろになり、あっちこっち擦りむけることになった。
正直、また死ぬのかと思った。
ひどい女だ。
ブレーキが効かなくなって、カーブが曲がりきれなくなり、
とっさに車外に脱出したってことにした。
正直苦しかったけどな。
普通に考えたらそっちのほうがはるかに危ないし、
それで助かってるってのも変な話だ。
その後も色々処理をして大変だったが、
命が助かっただけでも良しとしないとな。