気持ちの流れるままに、物語を書いています。

転生船長 第15話 - 私、2才になったのねん

2才になった。
歩いた、走った。べらべらしゃべった。
元気娘である。
私の名前はキサラというらしい。
前世は如月で、今世がキサラ。覚えやすいわ。

ところでここの飯は基本まずい。栄養素も足りてない。
そこで非常に便利な魔法を開発した。

美味しくない飯は美味しくすればいいのだ。ただし、私の口の中でだけだけどな。
といっても絶品料理になるわけではない。
私の口の中で筋張ったお肉や野菜はやわらかくなるのだ。右の奥歯で噛むとほろほろっとなる。
私の口の中で固いパンはやわらなくなるのだ。前歯で軽く挟むとパンが固い部分はさっくさくになる。
私の口の中で味気ないスープに味がつくのだ。唇に液体が触れた時、魔力を発動させると液体内の塩気が自動調整される。
私の口の中に入ったお肉には塩胡椒少々が、パンにはバターが少量自動付与される。はっはっは。
魔力使うけど。
絶品料理になるわけではないが、食べやすくなる。

一度固いパンを私がサクッと頬張った時にママが目を見開いていたが、顎が強い幼女で通した。
首を捻りながらママは味気ないスープにパンを浸して柔らかくしながら食べていたが、気にしない。
なんと言われようと私は顎が強いのだ。

栄養素不足?
大丈夫、足せばいいのだ。ただし、私の口の中でだけだけどな。
左の奥歯に魔力を通すと、スープに各種栄養素が自動付与される。
宇宙船製造技術を持つ私ならお茶の子さいさいだ。
カロリーとタンパク質はどうにもならないが、
ミネラルとかビタミンとか食物繊維とか微量でいいやつくらいならどうとでもなる。

根本的な食料不足は、、、致し方なし。
あれだよ。そのあたりはドックコアの魔力を使って、前世でお気に入りだったスイーツやらなにやらを再現させて、
こっそり手元に転送してモグモグしてます。
こないだあまりにもお腹がすきすぎて、牛丼食ったわ。
1/2人前ペロリよ。2歳児だけど。

この子なんで肌艶がよくて健康そのもので、2才にしてなんでそんなに発育がいいのか、というので、
ママが首を傾げているときがあったが、そんな細かいことを気にしていたら私のママはやってられないわよ。

食料とか家族に諸々提供する・・・?
うーん。
できないことはないし、やってあげたい気持ちもないではないけれど、
一度こういうのやりだすといろいろと問題あるんじゃないかしら?
提供するのは家族だけ?
それとも家族の所属するコミュニティー?
どこの範囲で秘密守れる?
なんだったらこの星の食料事情全部解決する?
はっはっは。
そんなことしてたら宇宙船を作る暇がなくなるじゃない。
私は聖人君主でもなんでもないのよ。


流行病で村の人が何人かなくなったと聞いたので、
軽く調べたら、ウィルス性だった。
とりあえず、私自身と家族の体内に侵入しているのもいたので、
家の中にいるやつも含めて、魔法でターゲットロックオンして全殺しした。
これやると体がちょっとあったかくなるので、お食事中にやりました。
パパママびっくりしてたけど、しーらないっと。
そのあと、村内+その周辺も含めてサーチしてからそこにいたのも全殺し。
魔力足りないから、ドックコア大活躍。いやー、作っといてよかったわ。
なんか村の中で噂になったらしいが、私がやったと気づける人はいなかったようで。
よかったよかった。
今日も平和だ。

気になったので全殺し直前にちょっと調べてみたら、森にいた魔物が家畜を噛んで、
そのときに侵入した特定の魔物の体内でしか生きられないウィルスが家畜内で変異して毒性が強まり、
それが家畜内で伝染して、最終的にそれが人にうつったのがそもそもの発端だったみたいね。