第四葉
拓也は、舗装されていない道路をしばらく走行した後、
少し開けた場所で、車を止めた。
「ここだ、ここ。ついたで。」
拓也が車を降りたのに続いて、残りの3人も車を降りた。
夕暮れ時で、日は沈みかかっていた。
車を止めたところから、少し離れたところに、
藪に囲まれた家の屋根を見て、美奈子が言った。
「何、あれ、人住んでんの?」
他の3人も屋根のほうを見た。
明らかに誰も住んでいないようだった。
「なあ~、ちょっと入ってみいひん?」
拓也が言った。
「え~。勝手に入ったらまずいんちゃうの?」
静香が言った。
「静香、お前怖いんやろ~。」
「ちゃうって。そういうことやないやろ。」
「バレへんやろ。だって、ここ長いこと、
誰も来た形跡ないで。」
確かに、舗装されていない道路に入ってからは、
非常に道路の状況は悪く、長い間、他の車も通っていないようだった。
「まあ、バレへんかもしれへんけど。」
「じゃあ、ちょっと行ってみようや。」
「え~。不気味じゃない?」
「やっぱり怖いんやろ。」
「ちゃうって!怖くないって。」
拓也と静香のやりとりを、美奈子はしばらく黙って聞いていた。