気持ちの流れるままに、物語を書いています。

第一葉

奈良県信貴山の奥深く、人里離れたところに、
名も忘れられた神社がある。

その神社の近くには、打ち捨てられた誰かの別荘があり、
もう何年も人は住んでいない。

信貴・生駒スカイラインから、少し道を外れてしばらくいき、
そこから、立ち入り禁止となっている林道に入り、
さらに、舗装されていない横道に入ってしばらくすると出てくる
誰も人が住んでいない別荘。

そこは、ホラー好きのマニアの間では、
有名な心霊スポットになっていた。

というのも、その地域には、昔から伝えられている
「七夕侍」の伝承があったのだ。

七夕侍の恨みによって、惑わされたり、
重い病にかかったりした人たちは、数知れず、
怖いもの見たさでも、絶対に立ち入っては行けない土地、
という噂だけがあった。