「あたしゃ初めてみたよ。こんな精神力の強い娘。」
老女がそうつぶやく。
「わしも初めてみたわ。こんな運の悪い娘。」
白髪の老人がつぶやく。
「ふむ。それよりも私は彼女の魔法の才能が気になるね。
飛び抜けて大きい魔力と緻密な力の制御。
非常に興味深い。」
黒髪・黒ローブの老人がつぶやく。
「ん、ん、、、、、」
如月が目覚めると、3人の老人が自分を見つめているのに気がついた。
「おや、お目覚めかい?」
老女が話しかける。
如月が周囲を見渡すと、どこまでも続く真っ白な世界が広がっていた。
そこにポツンと自分と、3人の老人がいるだけ。
「これは天国?それとも地獄?
そこまで悪いことをしてきたわけじゃないから地獄ではないと思いたいけど、
自分の身を守るためとはいえ、人を殺したことがないわけでもないから、
少なくとも、天国ではないわよね。
ところであなただあれ?」
如月が老女に問いかける。
「あんたがぶつかった惑星を作ってたものだわよ。」
老女が答える。
「普通は見つかりもしないもんだがな。
見つかったと思ったら、まっすぐに向かってくるもんだから、
驚いたわ。」
白髪の老人がそう口にする。
「ふむ。それだけ緻密な魔法制御ができるというのに、
気づかないものかね?
慎重に思えて、意外と大雑把なところもあるのだね、君は。」
黒髪・黒ローブがそう口にする。
「わかってると思うけど、一言で言うなら、ま、あんた死んだのよ。」
そして老女がそうまとめる。
「ですよねー。私死にましたよねー。で、ここどこなの?」
如月が老女にそう問いかける。
「天国でも地獄でもない、輪廻転生する直前の魂の居場所のようなものだわね。
あんたが死んだのも、ま、私らのせいってのもないではないので、
あたしら3人が顔をだしたんだけどね。
あんた、転生先になんか希望とかある?」
「じゃ、この世界で。この年齢のままで。いっそのこと死んでないってことで。」
「あんたはあほうか。」
「え、ダメ?」
「転生だといっとるだろうに。何を聞いていたんだろうね、この娘は。」
「うーん。
じゃ、魔法が使えて宇宙船に乗って商売ができるならなんでもいいわ。」
「大雑把じゃな。
魔法が使えるといっても、あんたが使える魔法がそのまんま使えるってのを考えてるだわな。」
「もちろん」
「あたしらのできることにも限界があるんだわ。
こことおんなじ世界に転生ってのは無理。
希望を叶えるといっても、なるべくよりそおうと努力はするんだけど、
全部は無理だわな。
宇宙船と商売はわからないけれど、ここと近い感じで魔法を使えるところは選んであげようかね。
それでいいかい?」
「あ、記憶。記憶残して。」
「全部は無理だよ。
なんか覚えておきたいことはあるかいね?
なんとなく体で覚えているっていう程度なら残せるかもしれないよ。」
「じゃ、魔法と宇宙船に関する知識全部。商売は、、、いいや。」
「じゃ、それでいくかね。」
そこで、如月の意識がふっと落ちる。