気持ちの流れるままに、物語を書いています。

転生船長 第4話 - 私はベイビー

「@ab;weou? valkjapw。」

「ivnweowaefakjhf! wlekjr!」

なんか声が聞こえる。

何言ってんのか全然わからない。

おお!

これが転生ってやつか!


というか、目があんまり見えないのよね。

「ivnweowaefakjhf! wlekjr!」

「qiak。oqkwna。oqkwna。」

何人か周りにいるようだけど、

たぶん、やたら「!」ついてるのがお父さんで、

おちついた感じがお母さんって気がする。

わかんないけど。


記憶はだいぶ残ってるわね。

うーーん。

魔法は使えるっぽい。

商売のことも、あ、わりと覚えてるわ。

うんうん、おじーちゃん、おばーちゃん。これは良き仕事であったぞよ。

まあ、商売のこと覚えていて何の役に立つのかよくわからないけどね。


「ivnweowaefakjhf! wlekjr!」

お父さん興奮しすぎ。

あれね、子供ができたのが嬉しいのね。

うんうん。


転生船長 第3話 - 1人の老女と2人の老人

「あたしゃ初めてみたよ。こんな精神力の強い娘。」
老女がそうつぶやく。

「わしも初めてみたわ。こんな運の悪い娘。」
白髪の老人がつぶやく。

「ふむ。それよりも私は彼女の魔法の才能が気になるね。
 飛び抜けて大きい魔力と緻密な力の制御。
 非常に興味深い。」
黒髪・黒ローブの老人がつぶやく。


「ん、ん、、、、、」
如月が目覚めると、3人の老人が自分を見つめているのに気がついた。

「おや、お目覚めかい?」
老女が話しかける。

如月が周囲を見渡すと、どこまでも続く真っ白な世界が広がっていた。
そこにポツンと自分と、3人の老人がいるだけ。

「これは天国?それとも地獄?
 そこまで悪いことをしてきたわけじゃないから地獄ではないと思いたいけど、
 自分の身を守るためとはいえ、人を殺したことがないわけでもないから、
 少なくとも、天国ではないわよね。
 ところであなただあれ?」
如月が老女に問いかける。

「あんたがぶつかった惑星を作ってたものだわよ。」
老女が答える。

「普通は見つかりもしないもんだがな。
 見つかったと思ったら、まっすぐに向かってくるもんだから、
 驚いたわ。」
白髪の老人がそう口にする。

「ふむ。それだけ緻密な魔法制御ができるというのに、
 気づかないものかね?
 慎重に思えて、意外と大雑把なところもあるのだね、君は。」
黒髪・黒ローブがそう口にする。

「わかってると思うけど、一言で言うなら、ま、あんた死んだのよ。」
そして老女がそうまとめる。

「ですよねー。私死にましたよねー。で、ここどこなの?」
如月が老女にそう問いかける。

「天国でも地獄でもない、輪廻転生する直前の魂の居場所のようなものだわね。
 あんたが死んだのも、ま、私らのせいってのもないではないので、
 あたしら3人が顔をだしたんだけどね。
 あんた、転生先になんか希望とかある?」

「じゃ、この世界で。この年齢のままで。いっそのこと死んでないってことで。」

「あんたはあほうか。」

「え、ダメ?」

「転生だといっとるだろうに。何を聞いていたんだろうね、この娘は。」

「うーん。
 じゃ、魔法が使えて宇宙船に乗って商売ができるならなんでもいいわ。」

「大雑把じゃな。
 魔法が使えるといっても、あんたが使える魔法がそのまんま使えるってのを考えてるだわな。」

「もちろん」

「あたしらのできることにも限界があるんだわ。
 こことおんなじ世界に転生ってのは無理。
 希望を叶えるといっても、なるべくよりそおうと努力はするんだけど、
 全部は無理だわな。
 宇宙船と商売はわからないけれど、ここと近い感じで魔法を使えるところは選んであげようかね。
 それでいいかい?」

「あ、記憶。記憶残して。」

「全部は無理だよ。
 なんか覚えておきたいことはあるかいね?
 なんとなく体で覚えているっていう程度なら残せるかもしれないよ。」

「じゃ、魔法と宇宙船に関する知識全部。商売は、、、いいや。」

「じゃ、それでいくかね。」

そこで、如月の意識がふっと落ちる。

転生船長 第2話 - 惑星激突

「惑星を回避できません。激突します。」
船のAIが無機質に私にそう告げる。
「えええーー!」

計器の故障が原因で、不適切な進路設定を行った結果、
惑星との激突(決して着陸ではない)を回避できなくなった私の船。
そして私の絶叫が船にこだまする。

「な、なんとかならないの、、、なんとか」
コンソールをいじり回しながら、
回避策を練る私。
そう、頭のどこかではもう無理だと知っている。

「激突まで10、9、8、」
相変わらず無機質なAI。
「そんな秒読みいらないわよ!」

そして、私の今世は終わった。

転生船長 第1話 - 如月船長

私の名前は、如月。27歳。ああ、もちろん女性。

若くして両親が亡くなって、経済的に自立するために、
遺産で宇宙船を購入。
星々の間を駆け巡りながら、個人で貿易で収益を上げて、
日々の生活を営んでいた私。
船の乗組員は、私一人。

商売に必要なものはなんだって勉強した。
生き残るために。
まあ、それが好きだった、てのもあるけれど。

特に私に向いていたのは、錬金術。
ゴミでもなんでもそこに物があれば、
そこから必要なものを作り上げるのに必要な資材に物質変換をすることができる。
もちろん、相応に魔力が必要になるけれども、
私の性質として生まれ持った魔力が人よりも多かった。

設計図を思い浮かべれば、錬金術を使えば、資材を元に必要な機材を作り出すことができる。
もちろんこれは魔力だけではなく、時間と集中力が大量に必要になるけれども。
ただ、私はこの錬金術の才能と魔力の多さによって、
宇宙船で何かトラブルが発生した時にも、自分で修理を行うことができた。
なんだったら、その気になればゴミの山から宇宙船自体を一から作ることもできる。
というか、今私が乗っている船がそうね。
そうあれは、思い出せば2年前、海賊船に襲われて愛船が大破して、もはやスクラップとなってしまったときには、
激しく絶望したわ、、、、、
やけくそで錬金術を使って死ぬほど頑張って、自作で宇宙船を作れた時は自画自賛の嵐だったが、
同業者には呆れられるやら信じてもらえないやらだったけど。
ま、まあ、最初は不慣れだった航海も、経験を積むにつれて、その分野でも才能を発揮することができるようになったわ。

商売の才能は、、、、まあ、天は人に二物を与えずってやつね。
まあ、食べてはいけるけれども、それほど上手い方ではないわね。
まあ、それはいいのよ。それは。食べていけているのだから。


これから先も、この業界で生きていくのだと思っていた矢先に、、、、、大事故を私は起こしてしまった。
自分の命を失う、という形で。

















昔あった嫌なことを思い出してしまう心理

そろそろ

水口宿も、一区切りついたので、
別のお話を書こうかと思います。

水口宿にオチらしきものがついてないですが、
オチを考えるのとかめんどくさいので、
もうこのままで。

次は何を書こうか?

水口宿 その12

正一郎は右衛門に礼をいった。

「本当にありがとうございました。」

眠っていた幸四郎は目覚め、その後しばらく様子を見ていても
妖怪が再び現れることもなく、無事解決、という運びになったのだ。

「お子さんも少しずつ元気になられているようでよかったですねぇ」
「元気に走り回るまでには幾許かかかりそうではありますが」
「お渡しした丸薬を1日1個、お忘れなきよう」

彦兵衛と正一郎はそんな会話をした。
あふたーけあー、というやつだ。

「それにしても旦那。あざやかな手並みでやしたねぇ。」
「たまたまうまくいった。今回もそれだけだ。」
「いやいや。旦那の腕があったからでさあ。」
「ふむ。」

右衛門は一見謙虚なような態度をとった。
これを謙虚というのかどうかは知らないが。

「そろそろこちらは旅立たれるのですか?」
「ええ、ええ。そろそろ次の街にいこうかと思っておるところでさあ。」

彦兵衛は水口宿から次の街に行商にいくことにしたようだ。




水口宿 その11

右衛門は正一郎の家の庭に檻を用意して、
彦兵衛が捕まえてきた野兎をそこに入れた。

夜になった。

運良くその夜は雲ひとつなく、満月が輝いていた。
月明かりに照らされてじっとしている兎を、
右衛門は障子の隙間から眺めていた。

ただ、じっと待つ。

もしかしたら今夜は来ないかもしれない。
もしかしたら兎ではなく人間にちょっかいをかけにくるかもしれない。
もしかしたら見逃すかもしれない。

何か兆候はないか。
何か見逃しはないか。
何か隙はないか。

右衛門はひたすらに機をうかがった。


ふと、兎がキョロキョロとしだした。
右衛門が身構えて、兎をじっと観察する。
兎が暴れ出す。
しばらくするとじっとうずくまって、ぶるぶると震える。
そして、動かなくなった。
兎は運良く檻の一番端。
檻を開けずとも外から一太刀、十分に届く絶好の位置。



音を立てずにすーっと障子を開ける。
兎までの距離。右衛門ならば5秒でたどり着ける。
刀を抜く。
目を閉じ、一呼吸。

右衛門刮目し、動き出す。
わらじを履かずに、そのまま駆ける。
うずくまっていた兎がピクリと動くが、
それ以上の動きを右衛門は許さない。

斬!

兎は胴体から真っ二つ。血が飛び出す。
それと同時に、白い煙が月明かりに照らされて、ぼやっと浮かび、
しばらくそこに止まったあと、風に消えた。






一人で頑張ってしまいがちな人

水口宿 その10

正一郎の家を出た後、右衛門は彦兵衛に話しかけた。

「おい、罠を張ろうぜ」

「罠といいますと、どのような」

「人間に取りつくのは夕方だけだ。
 それ以外は動物に取りつく。動物を用意して、そいつに取りつかせた後、
 ぶったぎりゃあいい」

「はあ、なるほど。野兎でも狩って、用意しておきますか?」

「夜がいいな」

「日中でもよいのではないのですか?」

「今のところ、この退治の仕方を知っているのは、
 あんまりいねえ。飯のタネになるかもしれねえ。
 広めたくはねえな。」

「へえ、そうですかい」

「何、他人事みたいにいってんだ。
 おめえも一枚かむんだよ。」

「ええ~。おっかないですよ。
 野兎をつかまえるくらいなら、あっしでもできやすが、
 妖怪に取りつかせたり、ぶったぎったり、なんてのは、
 旦那一人でお願いしますよ。」

「しようのないやつだな。」


水口宿 その9

右衛門が以前退治した妖怪は
子供にとりついて、といっても、憑依するのではなく、
べったりとくっつくのだ。

夕暮れ時に現れ、子供にべったりはりついたまま、
その子供の動きを完全に奪い、夕日が沈むと去っていった。
妖怪が去った後、子供は意識を失い、寝込んだままとなる。
妖怪を殺すと、子供は意識を取り戻し、じき回復した。

右衛門が妖怪を倒せたのは、たまたまだった。

その妖怪は、人間だけではなく、なんにでもとりつく。
日の出ている間は、暗がりに逃げ、暗がりにいる動物にとりつく。
夜になると、真っ暗闇を避け、月明かりにいる動物にとりつく。
人間に取りつくのは、夕日の出ている間だけ。

そして、何かにとりついているときに、斬られると、その妖怪は死ぬ。

右衛門は、山中で罠にかかったイノシシを切り殺した時に、
たまたま、その妖怪がとりついていて、殺せたのだ。

水口宿 その8

正一郎は、彦兵衛から右衛門を紹介され、
大いに喜んだ。

「それで、どうやって妖怪を退治されるのですか?」

「いやね。前のときは、姿が見えていたので、
 いろいろとやりようはあったんですがね。
 今回も、それと同じならいいんですが、
 拙者も、姿が見えないことには、退治したくても、
 なかなか・・・・・。」

「姿が見えれば、なんとかしてもらえますかい?」

「斬れるものであれば、なんとか。」

「おい!お前!」

正一郎は、奥方を呼んだ。

「なんでございましょうか?」

「お前、以前、幸四郎が寝込んでいるとき、
 庭に得体のしれないようなものを見た、と申しておったよな。」

「ああ、見ました。恐ろしい姿でした。
 思い出したくもない。」

「その後、どうしたんだ?」

「私は大声で叫んだあと、その場にへたり込んで、
 もう、うごけなくなってしまいました。」

「お前じゃなくて、その妖怪の方だ。
 その後、その妖怪はどうしたんだ?」

「ええと、どうでしたかね。
 私の叫び声を聞いて、旦那さまが走ってこられる音を聞いて、
 逃げて行ったような気がします。」

「どちらへ?」

「ええと、わかりません。」

「もうよい、下がっておれ。」

「御新さん、少々よろしいですかな?」

「はい、なんでございましょう。」

「庭といいましたが、どのあたりでしょうか?」

「はい、こちらにございます。」

右衛門は、奥方に庭に案内された。

「たしか、この岩の右隣あたりだったと思います。」

「ふ~む。」

岩の右側にあった草花は、全部枯れていた。

「彦兵衛よ。これは、前見たときのと似てないか。」

「右衛門様が退治なさった妖怪がでたときも、
 こういう跡が多数ありやしたね。」

どうも、右衛門が以前退治した妖怪と似たタイプのようだった。